自然と調和し、伝統に新しい命を吹き込むもの作りをめざす
私達ナイアードが、「アダテペ・オリーブミュージアム」と出会ったのは、2001年のこと。
ダフネ石鹸の自社生産のために、石鹸をもっと爽やかで優しい使い心地にしたいと、より新鮮で上質なエクストラ・バージン・オリーブオイルを求めて、シリア、モロッコ、スペインなど、オリーブオイルの産地を巡りました。
そして出会ったのが、この「アダテペ・オリーブオイルミュージアム」です。
かつてトルコでは、オリーブミバエの繁殖を防ぐために、オリーブへの国による農薬散布が行われていましたが、環境問題、自然保護への意識の高まりから、2000年よりこの制度が解除され、有機農法について興味をもつ人々が増えてつつある時期でした。
「アダテペ・オリーブオイルミュージアム」は、その中でも既に化学肥料や農薬を用いないオリーブ栽培にいち早く切り替えた積極的な生産グループでした。
しかし、オリーブの有機農法はじめた生産者は他にもいました。
その中で私達が「アダテペ・オリーブミュージアム」に共感したのは、彼らのものづくりへの取り組みの姿勢に、ナイアードの目指す方法と同じものを感じたからです。
それは、安全なもの作りが、もの作りだけに終わらず、自然環境との調和はもちろん、周辺の社会への貢献、またものづくりに関わる人の内面までも豊かにしたいという、もの作りが、人や自然に対して果たす役割を幾重にも見通した眼差しです。
もの作りがただ使い心地がよいものを作るだけに終わらない。
ものを作ること、使うことで、その周辺に人が誇りを持ってたずさわれる仕事が生まれ、自然との調和、人が積み重ねてきた歴史や伝統を大切にし、その流れにつらなる新しい知恵と行いを重ねることになる。
もの作りが、そうした自然や人の精神をよりよきものにする場であって欲しいという願い。
「アダテペ・オリーブミュージアム」のこころざすもの作りは、私達ナイアードが願い、試みるものづくりをやはり試みているもの作りと同じコンセプトのもとに進められていました。
そんな、願いを同じくする仲間に出会えたことを大切にし、そうした試みが、より大きく広がり、それぞれが連携し互いを高め、それぞれの場で仲間達の試みとそこから生まれたものたちのことを伝えていきたいと思い、ダフネ石鹸、アルガン石鹸の原料オイルとして「アダテペ・オリーブミュージアム」のエクストラ・バージン・オリーブオイルを使用することから、私達は「アダテペ・オリーブミュージアム」の取り組みに参加することをはじめました。
販売再開と価格改定について
〜オリーブの文様とadatepeの文字に込められた思い
前回は、石鹸の良さをより多くの方に知っていただくため、一度に大量に生産することで実現した、できるだけ手にとりやすい価格にいたしました。しかし、本来、私たちの作るものたちは、原料から、最後のパッキングまで、人が手をかけて行っています。この石鹸も同様です。
安価にするための前回の方法は、ナイアード本来のものづくりの方法、またアダテペの石鹸の性質にそぐわないため、保管中の品質維持はもちろん、生産者にとっては、注文が不定期となり、石鹸作りにもっとも適した時期に併せにくく、また、生産量の変動の大きさで雇用や仕事量が不安定になってしまう問題が生じてしまった反省がありました。
より多くの方に使っていただきたい、しかし、使い手にも作り手にもより良いの作りとは何か?を石鹸を紹介にするにあたり、ものづくりに携わる身として、私達はこの矛盾には悩みましたが、アダテペ・オリーブミュージアムの試みに共感し、共に歩みたいという、再び紹介したい一番理由をもとに、この石鹸について、品質はもちろん、生産者のも のづくりへの取り組みかたという文化的な価値、また生産者にとっての現実的な生産量や品質とコストといった現実的な費用のバランスについて、あらためて、 丁寧に評価すべきではないか?という結論に至りました。
その理由としては、
- 原料、またトルコの物 価の上昇。
(オリーブオイルは、2003年より1.5倍)。
- 丁寧なハンドメイドで あることを尊重し、必要で現実的な、生産者にとっても適正な数での生産を行ってもらう。
(一時的な大きな仕事よりも、毎年安定した量と内容の仕事を持ち続ける事が、仕事に携わる人の生活を安定させる。)
- 生産者の石鹸、その原 料となるオリーブオイル作りを基盤とした、周辺地域への社会貢献への協力。
(ナイアードとして、そして、石鹸の使い手のみなさまからの)。
また、石鹸の刻印も、以前はナイアード用にアレンジしたものを使用していましたが、「アダテペ・オリーブミュージアム」が創設以来使ってきたオリジナルの刻印にもどしました。
理由は2つあります。
ひとつは「アダテペ・オリーブミュージアム」のことをより多くの方に知っていただけたら、と思うこと。
そして何より、石鹸づくりに携わる人たちの、オリーブへ、石鹸への愛情がもっ ともこもっており、誇りの印でもある刻印だから、それに同じものを作る者達として敬意を表したいと思ったです。
丹精した畑から収穫されるオリーブで石鹸職人も参加して作るオイル。そのオイルを使っての石鹸づくりも、昼夜をかけて鹸化を行い最後の刻印を押すまですべて手作業で行われるのです。
手間をかけ、気持ちを傾けるその様子は、まるで子供を慈しむかのようであり、仕上げの刻印を押す時には「私達の石鹸」「私達が育てた石鹸」という優しい気持ちと誇りさえ漂います。このとき用いられる刻印も「アダテペ・オリーブミュージアム」が出来てからずっと使ってきたもの。長く積み重ねてきた時間がこもった刻印です。
やはりアダテペの石鹸がアダテペらしくあるには、このオリジナルの「adatepe」の名前と、オリーブの枝の文様がある刻印が最も相応しいと、私達は考えました。
私達は、ダフネ石鹸やアルガン石鹸の原料のエクストラバージンオリーブオイルを買付けるために何度もミュージアムへ通い、そのたびに互いにものづくりへの取り組みと思いへの共感を深めあってきました。今もそれは続いています。私達は、自然と調和した生活を模索、提案する道を共に歩む良き仲間です。
これからもこの「アダテペの石鹸」やダフネ石鹸、アルガン石鹸を通し、「アダテペ・オリーブオイルミュージアム」の取り組み、丁寧なものづくりが、生活に本当の豊かさを生み出す事を広く伝えて行けたら、そして更に共に新しいプロジェクトを展開していけたらと願っています。
【 写真について 上から 】
【 出来たばかりのアダテペの石鹸 】
カット、刻印をし終わったできたての石鹸。まだ水気を多く含み、柔らかい状態で、まるでフレッシュチーズのような手触りです。これをおよそ1.5ヶ月乾燥させると、出来上がり。大理石のような優しくもしっかりとした手触りに変化します。
【 石鹸と木製の印章と槌 】
「アダテペ・オリーブミュージアム」が石鹸作りを始めて以来、使い続けている石鹸用印章と、それを打ち込むのに使う槌(つち)。目の詰まった木は重く、上手に刻印を打ち込むのは、熟練した職人でなくてはできない作業です。
【 石鹸の仕上げ、刻印をする石鹸職人メメットさん 】
生まれたての石鹸素地に秘められていた名前と物語が、その表面に浮き上がる瞬間です。まるで生まれたての赤ちゃんに名前を与えるのと同じ、少し神聖ささえ感じる瞬間です。
メメットさんは、実は二代目の石鹸職人です。最初の職人は現在「アダテペ・オリーブミュージアム」だった建物がかつて石鹸工場だった頃、ここで活躍していた石鹸職人でした。彼とミュージアムで石鹸作りを行い、石鹸作りの技術を学んだ最後の弟子がメメットさんです。メメットさんが技術を引き継がなければ、アダテペ周辺での石鹸づくりは廃れてしまうところだったのです。
【 膨大な数の石鹸に刻印 】
メメットさんは、自分で作った石鹸全てに、ひとつひとつ手作業で刻印を打っていきます。鹸化、型入れ作業中は、夜でも石鹸素地の様子をみるなど、子供を慈しむように、手塩にかけた石鹸たちに名前を与えて行きます。
【 オリーブの実を収穫する村の男性 】
オリーブの実の収穫は12月。アダテペ周辺は「オリーブの谷」と呼ばれるほどのオリーブの産地ですが、職を求めて都会へでる人が多く、オリーブ産業に陰りがあるのは否めません。「アダテペ・オリーブミュージアム」が自然農法によって、新しいオリーブの価値を生み出し、ミュージアムを中心にしたエコツーリズムという新しい産業を生み出したことで、この周辺でも少しずつですがオリーブを中心にした農業を見直す動きが出てきました。
【 しぼりたてのオリーブオイル 】
石鹸職人のメメットさんは実はオリーブオイルづくりの職人でもあり、オイルや石鹸作りの無い、春夏秋は、オリーブ畑でオリーブの世話をしているファーマーでもあります。
土を耕して得た自然の恵みを加工し、食物や、身の回りで使うものを作り出す。このすべてのプロセスを、自らの手、身体の感覚を使って成し遂げるメメットさんは、私達の憧れの存在です。
【 よりよい品質、新しいもの作りの方法を探す 】
はじめて「アダテペ・オリーブオイルミュージアム」を訪れた時に、ミュージアムを案内してくれたのは、当時、石鹸やオイルの品質管理や開発を行っていたメツェンさんでした。
私達は、ホットプロセスの石鹸の作り方を学ぶのと交換に、ダフネなどのコールドプロセスの石鹸の作り方をメツェンさんに教えるなど、互いに情報交換、学びの場を作ってきました。メツェンさんは、既にリタイアしていますが、今も石鹸作りに熱心でミュージアムのサポートを続けています。
【 ミュージアムに設置された石臼 】
「アダテペ・オリーブオイルミュージアム」の入り口直ぐ側に設置されているのが、貴重なエクストラ・バージン・オリーブオイルを作る最初のプロセスを担う、大きな石臼。大きな2つの石でできたローラーがオリーブの果実を引き潰します。
石のローラーは一つ直径およそ1メートル、幅は30センチほど。
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