工房全景

 エクストラ・バージン・オリーブオイルにとって、大切なのは、その鮮度の証と、軽やかな味、肌触りを生み出すために、1%以下の低い酸度であること。

 そのためには、収穫したオリーブの実をできるだけ新鮮なうちにオイルにする事が最も大切なことです。

 そのため、オリーブの収穫期は、その日届いたオリーブを全てオイルにするまで、夜遅くまで作業が続きます。

   新鮮なオリーブの香りと味わいをそのままオイルに残すため、人がオリーブの味と香りのうつろいに、仕事のサイクルを寄り添わせるのです。
 自然と共に暮らす人々の知恵と、オリーブへの愛情と誇りです。

 オリーブの収穫は冬。
 エーゲ海に面した、温暖な地中海性気候のアダテペとはいえ、やはり底冷えがする厳しい季節です。
 水を多く使い清潔に保たれた工房では、その寒さのため、一層きりっと冷たい空気が満ち、その中での作業は大変なもの。オリーブオイルへの愛情と職人としての誇りがなくては続かない仕事です。
 ある部分は機械化しながらも、品質や伝統の中心に関わる部分は、昔からの伝統的な人の知恵や繊細な身体感覚によったもの作りをする事。人の繊細な五感や経験を生かす事こそが、毎年、日々異なる自然素材の最良の性質をもの作りに、品質に反映させる最善の方法であり、また、人が、自身の能力に誇りを持ち、生かしながら働く場を作り出す方法であるからです。
 アダテペ・オリーブオイルミュージアムと、ナイアードに共通する、自然と、伝統、人を尊重する、もの作りのコンセプトです。
(上写真:ミュージアム内 オリーブオイル工房全景。左に石臼、石臼の前に、プレス用マット、右にプレス機、手前にオイルを集める水槽が見える)

   

ゆっくりと、時間をかけてつくる ~ 香り高い、エクストラ・バージン・オリーブオイル  


 

【収穫したオリーブの実】
 畑から届いた、
新鮮なオリーブの実たち。
朝から夕方まで
ひっきりなしに
ミュージアムへとどけられます。

 

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【洗浄】
 できるだけ早くオイルにするために、
洗浄用機械は
ミュージアムの庭に備え付けられています。
オリーブは、届いたはしから
洗浄機にかけられます。
洗浄に使われる水道水は、
イダ山のひんやりとした美味しいわき水が水源。
イダ山の環境保護もミュージアムの活動のひとつです。
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【石臼ですりつぶす】
 大きな石臼は、かつては牛やロバなどが
引いていましたが、
今は、モーターで動かします。
すりつぶす作業が始まると、
あたりには爽やかなグリーンの香りが混じる、
オリーブオイルの
美味しそうな香りが漂います。
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【ペーストをかきだす】
果肉がしっかりとすりつぶされた
ペーストを石臼の下からかき出します。
ペーストの滑らかさは、
職人が見て、足りない場合には
もう一度すりつぶします。

 

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【オリーブのペースト】

新鮮な野菜のようなグリーンの香りと
オリーブオイルの美味しそうな
香りがします。
ペーストのくぼみに、
オイルがすでに浮き上がり、
ほのかに光っています。
一見美味しそうなペーストですが、
オリーブの実はアクが強く、
生のままでは
苦くてとても食べられません。

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【マットにペーストをのせる】

直径70センチほどの
ドーナツ型のナイロン製のマットに、
ペーストをのせて行きます。
これもかつては手作業でしたが、
今では、回転台にマットを置くと、
マットが回転。
ペーストを自動的にのせて行く
半手動の機械を使って
作業できます。

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【プレス用の台にマットを重ねる】

マットは一枚10キロ近い重いものです。
それをずれないようにする軸に通しながら、
一枚一枚手作業で重ねていきます。
一見少なく見えるペーストは、
これから重ねられて、
マットいっぱいに広がります。
マットとマットの間には、
オイルプレス機の圧力が均等にかかるように、
ステンレスの厚い円盤を挟みます。

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【プレス用の台にマットを重ねる】

ペーストは柔らかいので、
ただマットを重ねるだけでは、
真っ直ぐに重ねらず、
プレスの圧力がうまくかかりません。
マットが水平に重なるように
体重をかけて微調整をします。
 強い腕力と同時に、
繊細な微調整が必要な難しい作業です。

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【マット台をオイルプレス機に入れる】

オイルペーストと金属板で、
大人の背丈よりも
高くなったマット台は、大変な重量。
慣れた職人でも三人掛かりでなくては、運べません。

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【プレスする】

 水圧式のリフトで、
下からマットを入れた台が押し上げられ、
徐々にマットに挟まれた
オリーブの実のペーストに
圧力がかかっていきます。

写真では、マット台の車輪が
50センチほど
持ち上がっているのが見えます。
ここから更に、
押し上げられていきます。


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【したたるオイル】

 一定の圧力がかかりはじめると、
マットからオリーブの果汁がしみ出し、
滴り落ちます。
マット台の下は、水槽状になっていて、
パイプをつなげるバルブがついています。
ここへ、パイプをつなげて、
果汁を集める水槽へ、
オリーブの実のジュースは
流れて行きます。

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【オイルをすくいとる】

 オイルプレス機から、ステンレスの水槽に
オリーブの実のジュースは貯められます。
 オリーブの実のジュースはあくが強く、苦くてとても飲めるものではありませんが、緑の爽やかな香りはとても魅力的です。色も、あくのために茶色をしています。しかし、この中に、美味しいオリーブオイルが隠れています。多くの植物オイルが、種からとれるオイルなのに対し、オリーブオイルは、果肉からとれる珍しいオイルなのです。
 ジュースを水槽に入れると、茶色かったジュースの表面が次第に緑に変わってきます。表面にオリーブオイルが浮き上がってくるためです。
 機械化したオイル工場では、オイルだけを分離するのも機械で行いますが、ミュージアムの工房では、「フイユ」という、ステンレスの薄い皿でオイルを手作業ですくいとる伝統的な方法にこだわっています。ある程度空気にふれさせながらすくいとる事で、舌や肌に刺激を与える揮発性の成分が空気中に逃げ出し、新鮮でありながら、優しく軽やかな味わい、肌触りのオイルになるためです。


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