1.作り方
アルガンオイルを作るには、まず、乾燥させたアルガンの実の果肉の部分を取り、その中のどんぐりのような種を取り出し、それを更に石で割って胚の部分を取り出します。(左写真上より、木の実を割った殻と胚、砕く前の実、乾燥させたアルガンのフルーツ、生のアルガンの果実。 )。
アルガンの実の殻はとても固く、また機械も使えないため、全て手作業で胚を取り出さなくてはなりません。(右上写真:石の台に、アルガンの実を乗せ、小さな石で割って、殻と胚に分別する。)1日働いても、2kgの胚を取り出すのが精一杯です。アルガンオイルは、この胚の部分を圧搾して作られます。とれるオイルの量は、胚の重さの30〜50%。いかに手間がかかり貴重なオイルであるかがおわかりいただけるでしょう。

伝統的な製法では、取り出された胚は、石臼でペーストにされ、そこに水を加え、手でこねて、パンケーキのような形捏ねて絞ります。(右下写真:プレスケーキ。オイルの絞り糟の固まりは、プレスケーキと呼ばれ、オイルを10%程含み、家畜たちの飼料となります。)この古い方法は、とても美しい仕事ですが、1リッターのオイルを絞るためには、10時間もかかるのです。さらに、胚の重量に比して、30%弱のオイルしかとません。(写真:左下4点、上から、胚を石臼でペーストにする。2点・ペーストに少し水を加え、ケーキ状にしてオイルを握力で絞り出す。注ぐ。)
体力も時間もがかかる重労働なうえ、不純物が混じりやすく、オイルと水がまざるために、水に含まれる酸素によって酸化が早く進み、上質なオイルを取る事が困難です。
私達が購入するアマルなどの組合では、胚の取り出しまでは手作業で行うものの、搾油はプレスマシンを用いて行うため、40%程度の搾油率で、より質の良いオイルができます。

オイルをつくる方法こそ違いますが、どちらの方法でも、オイルが取れる胚以外の部分も無駄になることはありません。乾いた果肉は、家畜の餌に、胚を包む殻はかまどの焚き付けに、油の絞りかすも家畜の飼料にと再利用され、使いきれない分は、市場で売られます。

2.生産グループについて
ナイアードが使用している
アルガンオイルは、女性たちの生産組合から買い付けたものです。
これら生産グループは、その名も「アマル(アマジル語で希望)」、「アディーグ(アマジル語で花)」(右写真中:作業風景)といい、約100人の女性達で、構成されています。
このグループは職業の機会を得る事が難しいイスラム社会の中で、女性達が、自立を目指して作り上げた組織。「アマル」(右写真中:作業風景子供をあやしながら働く女性)が、まず最初に結成され、その周辺地域に同様のグループを組織し、今もそれは広がり続けています。
基本的には、全ての女性に門戸は開かれていますが、希望者が多いため、母子家庭など経済的な自立がより必要な状況に置かれている女性に優先的に参加させています。

もともと、アルガンオイル作りは、女性達が家事の合間に行う仕事でした。しかし、オイルを売る仕事は男のものなので、現金が女性の手にはわたりにくいデメリットがありました。
しかし、アマルなどの生産協同組合では、オイルの収益は、女性達に直接手渡されます。
自分が自由に使えるお金を手にしたことで、女性達は教育や子供達のためにお金を使い、家族の中でよりよい影響力を持ちます。また、アルガンの実の買い付けなどで、地域社会への参加のきっかけや、自立の可能性を手にする事ができるようになりました。

アルガンオイルは、その丁寧な作り方、伝統からスローフード大賞を受賞しています。