ネパールには、森で野生の蜜蜂を追い、蜂蜜や蜜蝋を採取する人々がいます。
彼らは、グルン族と呼ばれるチベット系の人々。

雨季の終わり頃、彼らは森に出かけ、断崖にできた蜂の巣を身一つで集めます。

蘭やシャクナゲ、様々な種類の花から集められた蜜と、それを守る蜜蝋は、深みのある甘い香り と野趣あふれる味わいを持っています。

私たちのリップクリームの主成分のみつろう(ビーワックス)も、彼らが集めてくれた、野生の蜜蜂の蜜蝋です。


■ こ れ か ら は ち み つ 採 り に

この仕事は、男性たちの仕事。

川沿いに山を上り、蜜蜂の巣がある場所を目指します。

が け を 下 る

蜂の巣は、100m以上ある断崖の岩だなに作られます。

その巣へたどり着く方法は、蔓で作った縄梯子だけ。ハンターは命綱をつけ、身一つ、裸足で崖を降りてゆきます。

い ぶ し た 草

上で待つ人々は、あたりの草を刈っていぶしたものを籠にのせたり、ロープにつけて降ろします。

燃える草から出る煙が、巣から蜂を追い払い、ハンターを守るのです。

蜂 の 巣 に た ど り 着 く

断崖をゆっくりと下って、ようやく目的の蜂の巣にたどり着きます。
ハンターの体と比べても、いかに巣が大きいかおわかりいただけると。この断崖にはこうした巣が、他にもたくさん作られています。

ハンターのズボンや、巣の上に見える黒い点が蜜蜂。遠目にも飼育されている蜜蜂とは違う、はるかに大きい種類の蜂であることがわかります。

しかもハンターは顔を網で覆う以外、手足は露出したままで蜂にむかいます。

巣 を い ぶ し て 蜂 を 追 い 払 う

青草を燃やして出る煙で、蜂を追い払います。

燃える草も、ロープで縛って上から垂らしているので、手にもった棒で位置を調節します。

身体をささえるのは、命綱と蔓でできた梯子だけ。
周りには、雲のように巣を守ろうと無数の蜂が群がってきます。

蜂にさされながらの大変な作業です。

巣 に 穴 を あ け る

蜂を追い払いながら、棒で巣を引っ張りあげるためのロープを通す穴を、巣にあけます。

巣 を 吊 り 上 げ る 準 備

先端にロープを結びつけた楔を刺します。

それから、ロープと楔が安定させ、巣の土台を残してカットし、上に合図。

上で待機している人たちが、巣をゆっくりと引き上げます。

野 生 の 蜜 蜂

私たちが見慣れている、蜜蜂とは少し違う蜂です。

お腹が黒く、群青色の光沢があります。
大きさも2〜3cmとかなり大きめです。

 持 ち 上 げ る

大きな巣が、はちみつを滴らせながら、ゆっくりと崖を引き上げられていく様子は、スリリングですが、豊かな光景でもあります。

崖の下には、降って来る蜜や蜂の巣の欠片を集める人たちが待っています。

採 取 さ れ た 蜂 の 巣

やっと取れた蜂の巣です。

村へ持ち帰り、はちみつを絞り、残った巣をお湯で煮て、みつろうを精製します。

出来上がったはちみつや、みつろうは、貴重な現金収入となります。