トルコの南西、エーゲ海沿岸に面したアダテペ村が、「アダテペ・オリーブミュージアム」の活動拠点。トルコは世界第三位のオリーブオイル生産国ですが、その多くはこの周辺で生産されており、最近では、より安全な栽培方法を追求する気運が高まり、無農薬や有機農法でのオリーブ栽培をする農家が増えているのも特徴です。
 なかでも、古くからオリーブの産地として知られているのが、アダテペ村の周辺。ギリシア文化を担った地域でもあり、アダテペ村も200年程前に、エーゲ海を越えてやってきたギリシア人たちが作った村です。
 
今も当時の石造りの古い家並みが残り、ヤギや羊を買い、キッチンの土間に、大きな壷が埋め、オリーブオイルを備蓄するといった、昔ながらの、伝統的なゆったりと豊かな生活が今も続いています。
 この地域は景観保護地域に指定され、村の建築は、当時の建築様式を遵守し、指定された場所(昔から家があった場所)以外への家の新築を禁止するなど、伝統の文化や生活が守られています。

 しかし、伝統を守るだけでは、仕事や新しい情報を求め、人々が都市に流出していく、人口流出や過疎化の問題には対応できません。
 アダテペ・オリーブミュージアムでは、自然農法を取り入れたオリーブ栽培、オイル作り、アダテペ村の伝統的な景観を資源にしたエコツーリズムや、サマースクールが開催するなど、地域には、新たな就労の機会を創出し、都市部へは環境保護や伝統的な生活について情報発信を行い、ミュージアムの活動とともに、村を新しい文化の拠点にしようと試みています。

【写真 上から】

◎アダテペ村全景:
アダテペの「アダ」とは島を、「テペ」は丘を意味します。アダテペはイダ山の山麓にありますが、この部分だけ、陸の上の島のように、実際一つの孤立した島のように盛り上がった大きな丘になっています。
 松の林と巨大な岩に覆われた丘でもあり、中でもエーゲ海に向けて突き出した大きな岩の尖端は、ゼウスの神託が下る場所として、古代から大切にされてきた場所でもあります。

◎谷から見上げるアダテペ村:
村は丘の頂上にあり、周囲は急な谷に囲まれていますが、谷には水が集まり、タイムなどのハーブが自生し、村人は羊やヤギを放牧します。

◎オリーブオイルを備蓄した瓶:
改装前の古い家で見せてもらった、大きな素焼きの瓶。一番太い部分で直径1メートルほどあります。底はアンフォラのように尖っていて、土に埋めて安定させています。この瓶をいくつか並べて、昔は自分の家でとれたオリーブオイルを台所に備蓄したそうです。
 また、この地域の村ごとにあるオリーブ絞りの工房では、昔は倉庫にこうした瓶をならべ、村人の家に備蓄しきれないオリーブオイルを預かったといいます。

◎昔のオリーブオイル作りの道具たち:
オリーブの実はどの家でも収穫されますが、オリーブオイルをしぼるのは、村やその近郊にある、オイル工房へ実を運び、オイルを作ってもらいます。これは、今も変わらない方法です。
 写真は、もう使われなくなった、古い形態のオリーブオイル作りの道具たち。左側が石臼。右側に石の錘をつけたプレス機が見えます。石臼は、以前はロバなどの家畜にひかせました。

◎100年前に建てられた家:
1907年という、この家が建てられた年と、当時の家主の名前がギリシア文字で記されています。家の外壁は石造りでとても厚く、床は木の建築は、素朴な暖かさが感じられます。エーゲ海に面した南斜面に村があるため、殆どの家の窓からエーゲ海を望むことができます。

◎イダ山の金鉱採掘反対のバナー:
アダテペ村も、イダ山の水でオリーブを育て、生活用水をまかなっています。深い森におおわれたイダ山の水は、深みのある味わいがあり、蛇口をひねれば、ミネラルウォーターが飲めんだ。と、オリーブミュージアムの人たちは自慢します。
その水と、水の恵みに育まれる、生きた黄金であるオリーブ、そしてオリーブに支えられる、穏やかな自然とともに歩む生活を守るために、村の人々と、オリーブミュージアムは金鉱採掘反対と、イダ山の環境保護の活動を続けています。

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