ナイアード・タイランド ~ 豊かな自然に囲まれた工房で 伝統と自然が調和するものづくりを試みる
ナイアード・タイランドの工房は、工芸の町と呼ばれるチェンマイから、20キロほど郊外へ出た緑豊かな場所にあり、石鹸の他、ガスールの検品やパッキング、アルガンクリーム作りなど、ナイアードのもの作りのコンセプトと実践の中心をなしています。 工房では、周囲を囲む豊かな自然との調和はもちろん、周辺の村、特に女性に対し就労の場を作る、地域社会との調和もめざしたもの作りを行っています。こうしたナイアード・タイランドのもの作りの中でも、石鹸は、その実践の象徴的な存在です。 石鹸作りは、製造行程はもちろん、準備や後始末にも深い配慮が必要です。それはスタッフひとりひとりに、より安全な製造過程の工夫や注意力、品質、環境への影響、自然素材や人が手を使って作ったものを身体に使うことの心地よさなどをより深く感じさせ、スタッフたちのもの作りの意識を深める時間にもなっています。 【 写真 上から 】 ◎型入れ直前の石鹸素地とダフネ石鹸: 型入れ直前の石鹸素地は、艶があり滑らか。粘度や温度の他、表面の質感などスタッフたちは型入れのタイミングをホイッパーから伝わる素地の触感で繊細に判断します。 工房の大きな窓からは、山や野原など緑豊かな風景が見渡せ、仕上がった石鹸素地の表面には、そんな美しい自然の風景が映り込みます。 ◎石鹸にナイアードの刻印をしるす: 型から出しカットした石鹸は、まだチーズのように柔らかです。その柔らかな状態の間に、ひとつずつ刻印をしるし、乾燥室でおよそ1ヶ月間、石鹸の鹸化と乾燥を行います。 この作業をしている女性は、石鹸チームのリーダー。初めてコールドプロセスの石鹸を使った時の肌の感覚を 「清らかなもので全身を包まれたようで、優しい気持ちになった」とレポートしてくれました。 ◎石鹸素地製造中のスタッフ: ナイアード・タイランドの石鹸作りはすべて工房近隣の村から集まった女性たちが行います。小さなボールでケーキを作るのと同じ道具で、優しい気配りも同じように。 石鹸素地のきめ細かさ、滑らかさは安定した温度で素地を撹拌することが必要です。撹拌する手を止めながら、こまめに温度をはかっては製造ノートにメモをしていきます。 ◎石鹸(おためしサイズ)の検品中: 石鹸の手触りや匂い、重量、清潔さなどを、これもひとつづつ丁寧に自分の目と指先で確認していきます。 この検品でみつかる重量が足りない石鹸や整形のために削った石鹸くずは、まず、工房内での洗濯や手洗いに使われ、残りはスタッフ全員で平等に分けて家に持ち帰って使います。 肌荒れやアレルギーで悩んでいた肌が落ちついた人、合成洗剤の香料が刺激的に感じられ、洗濯もすっかり石鹸派になってしまった人など、石鹸の良さを実際に使って実感することで、それぞれがより良い石鹸を作る気持ちを深めています。 ◎器に残った苛性ソーダの処理: 石鹸づくりで、もっとも気を配るのは、オイルを鹸化するのに用いる苛性ソーダの後始末です。苛性ソーダはそのままでは強いアルカリ性で、やけどのもとになるほか、植物も枯らしてしまいます。こうした悪影響を避けるため、苛性ソーダに触れた道具類を洗った水が、外に流れ出さないようにしています。 苛性ソーダにふれた器は、専用の入れ物の中で洗います。水は何度かリサイクルします。洗った後の水は、まずクエン酸で中和します。 その後、更に薄めて庭の植物に与えます。 その他、食器や布巾、手あらいで出る日常的な排水は、専用の池に集められ、パピルスなどの水生植物や小さな魚が水の中の有機物を食べ、浄化します。植物が枯れた後にできる泥や枯れ草は、コンポストに入れられ、庭の植物の肥料となります。 廃液処理にかぎらず、製品の原料やパッケージにも、燃やしても安全な素材、非精製の、自然に帰る素材を選ぶなどできるだけ、自然や土に近いもの、伝統的なものや方法を取り入れています。 ◎植物の力を借りた廃水浄化: パピルスや空芯菜、ホテイアオイ、睡蓮などが、排水の汚れを栄養として取り込み、根の周りに済む微生物も汚れを分解します。巻貝やグッピーなどの水の中の生き物達も同じ働きをします。枯れた植物や、池の底に溜まっていく泥はコンポストに入れられ、肥料にかえられます。植物の種類は、季節によって変わります。 ◎倉庫の屋上緑化: コンポストや、植物の力を借りた排水処理など、ナイアード・タイランドは、環境に調和した工房の運営を実践しています。 倉庫では屋上緑化し、室内の気温が上がりすぎないようにします。 敷地内全体も、樹木や自然の芝生に覆われ、周辺の気温が上がりすぎないよう、微気象を生み出しています。 この他、チークの古い家を解体した古い木材を利用してスタッフルームやトイレなどの施設を建てるなど、リサイクルも積極的に行っています。 ◎上: チェンマイ工房全景。中にはもともと敷地内にあったマンゴーの木が残されています。壁面の白には地元でとれる生石灰の原石を溶かして使用しています。
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