■ こ れ か ら は ち み つ 採 り に
この仕事は、男性たちの仕事。

川沿いに山を上り、蜜蜂の巣がある場所を目指します。

■ が け を 下 る
蜂の巣は、100m以上ある断崖のテーブル状に張り出した岩の下に作られます。雨を避けるためです。崖の下には川が流れています。

左上の丸印が、崖の上で、待機している仲間達。右下の丸印が崖を下っていくハンター。この崖の高さが、どれほどのものか、お判りいただけると思います。


巣へたどり着く方法は、蔓で作った縄梯子だけ。蜂の巣を巣を切り取るための竹ざおだけを持ち、ハンターは命綱をつけ、身一つ崖を降りてゆきます。


蜂から身を守るものは、顔を追おう網だけ。手足は、ハシゴや道具を使うためとはいえ、むき出しです。

■ い ぶ し た 草
上で待つ人々は、ハンターが命を預けるハシゴとロープを守りながら、あたりの草を刈っていぶしたものを籠にのせたり、ロープにつけて降ろします。

燃える草から出る煙が、巣から蜂を追い払い、ハンターを守るのです。

■ 巣 を い ぶ し て 蜂 を 追 い 払 う
ようやく目的の蜂の巣にたどり着き、青草を燃やして出る煙で、蜂を追い払います。ハンターの体と比べても、いかに巣が大きいかおわかりいただけるでしょう。ズボンや、巣の上に見える黒い点が蜜蜂。遠目にも飼育されている蜜蜂とは違う、はるかに大きい種類の蜂であることがわかります。 不安定なハシゴの上、燃える草も、ロープで縛って上から垂らしているので、手にもった棒で位置を調節します。巣を守ろうと群がってくる蜂にさされながらの大変な作業です。

■ 巣 に 穴 を あ け る
蜂を追い払いながら、棒で巣を引っ張りあげるためのロープを通す穴を、巣にあけます。

■ 巣 を 吊 り 上 げ る 準 備
先端にロープを結びつけた楔を刺します。

それから、ロープと楔が安定させ、巣の土台を残してカットし、上に合図。

上で待機している人たちが、巣をゆっくりと引き上げます。

■ 野 生 の 蜜 蜂

私たちが見慣れている、蜜蜂とは少し違う蜂です。

お腹が黒く、群青色の光沢があります。
大きさも2〜3cmとかなり大きめです。

■ 持 ち 上 げ る

大きな巣が、はちみつを滴らせながら、ゆっくりと崖を引き上げられていく様子は、スリリングですが、豊かな光景でもあります。

崖の下には、降って来る蜜や蜂の巣の欠片を集める人たちが待っています。

■ 引き上げられていく蜂の巣。

中央上部にハの字に見えるのが、巣に穴をあけ、ロープを止めている楔です。

■ 最後の緊張の一瞬。ゆっくりと慎重に巣を引き上げていきます。

■ 採 取 さ れ た 蜂 の 巣
やっと取れた蜂の巣です。
村へ持ち帰り、はちみつを絞り、残った巣をお湯で煮て、みつろうを精製します。

出来上がったはちみつや、みつろうは、貴重な現金収入となります。



私達のビーワックスリップクリームの物語の中で、圧巻は、ハニーハンターの物語でしょう。
ネパールには、岸壁に営巣する大型の野生の蜜蜂がいます。ランドルクという村の岸壁には、秋になると40〜50個の巣が毎年作られます。この巣を自家製の縄梯子で岸壁を下って収穫するのです。(左写真:岩棚に築かれた野生の蜜蜂の巣。)
こうして集められる蜂蜜は、森の薬草の蜜を多く含むため、一度に多くを食べられない程強い効用があり、薬用として利用されています。この蜜をとった後の蜂の巣が、私達のリップクリームの素材のひとつである、ビーワックスの原料となります。
巣が収穫されると一旦、蜂は森に帰りますが再び営巣をはじめます。そして次の秋に再び、ハニーハンティングの時が訪れるのです。
このように人が自然と直接向かい合う時、忘れていた狩猟採集民が持っていたであろう、自然の恵みを得ると共に、畏怖する程の自然を深く理解する心が蘇ります。
パーマカルチャーとは、その土地の水や風の流れを読み、そこに住む生き物たちの性質を学びとる、狩猟採集民のまなざしを、「育てる」行為である農業の空間に取り込む試みのようにも思えます。