木 藍 と は

 木藍(もくらん)は、マメ科コマツナギ属の植物で、原産はインドまたは東南アジアと言われています。学名をIndigofera tinctoria L.といい、またキアイ、ナンバンアイと呼ばれています。
 藍を染めるのに用いられる植物はマメ科の木藍の他にもタデ藍など幾つかの種類がありますが、中でも木藍はヘナ同様、人とのかかわりが長い植物で、アジア全域、アフリカや南米と広い地域で育てられ、インドでは医療品の原料や藍染めなどとして使用されてきた歴史があります。
 木藍からとれる染料の名「インディゴ(indigo)」の語源がインド「india」に由来することからもわかるように、インドの藍はローマ時代からヨーロッパの人々に珍重されていました。日本でも江戸時代には色素含有量の多い木藍が輸入されましたが、化学染料が主流の今では生産量も減少傾向にあります。
 日本でも、江戸時代には色素含有量の多いこの木藍が輸入され、藍染めの原料として良く知られていましたし、ヨーロッパでも古くからインドの木藍は有名で、愛されてきた染料でした。しかし化学染料が主流の今では、生産量も減少の傾向にあります。


木 藍 と の 出 会 い

 これまでヘナシリーズをとおし、細かな粉末や様々なハーブの配合比などを調査してきましたが、こうして関わり続けているハーブの世界の中で日本人の髪にあった、暗い色合いに染められるハーブとして出会ったのが、『木藍』(もくらん)です。
 南インドのタミル・ナードゥ州に、暗い色に髪を染められるハーブがあると聞き、現地を訪れると、日焼けした顔で出迎えてくれたのは、木藍という植物を使って、インディゴ・ケーキ(藍染めをする際に使う固形の藍)を作る工房の職人たちでした。
 彼らのインディゴ・ケーキ作り、とてもシンプルな昔ながらの方法で、早朝5時から木藍の刈り取り、その木藍を水につけ、藍の元となる成分が溶け出したその水を、足で水を蹴り上げることで水に酸素を溶け込ませ、水中に溶けたインドキシルを酸素と結びつけてインディゴに変化させ、そのインディゴの粉末を沈殿させ固めて藍を作るというものです。緑鮮やかな自然の中、全身を鮮やかなブルーに染めながら、男達が水を蹴り上げる光景は、見る者を圧倒する程の迫力でした。
そして出来上がった藍のケーキも上質な物。更に作業から出る排水はそのまま灌漑に利用され、色素を溶かし出したあとの木藍も、堆肥にして畑に入れるなど、藍に対しての誇りや自信などものづくりの姿勢は真面目なものでした。
 そんな彼らが作る良質な木藍を粉末にしてもらうことにしました。しかし村にある小さな粉砕機では十分に粉砕する事ができないので、私達が粉砕機とフィルター機を購入、彼らは工場などを建設し準備を重ね、生産をスタートさせることができました。
 この工場は、周りを畑や生い茂るヤシの木に囲まれ、南インド独特の緑豊かなのんびりとした空気のただよう素敵な場所にあります。
美しいだけでなく、この工場は、木藍の畑が隣接している為、刈り取り-乾燥-粉砕への流れがとてもスムーズに行えるメリットがあり、一層、上質なものをお届けする事が可能になりました。


木 藍 が 染 ま る 仕 組 み

 

 
木藍は草木染めの中の生葉染めの原理を利用しています。
水に溶けた、藍色の素の成分が、髪に付着し、それが酸素に触れることで発色する、とてもシンプルな染色法ですから、安全で使いやすい素材であるといえるでしょう。
 木藍やその他の藍色を生み出す植物の中には、必ず藍の成分の素である「インジカン」という無色の物質が含まれています。葉を砕いて、水に溶かし込むと、インジカンは水に分解(加水分解)されて、「インドキシル」という物質に変化します。このインドキシルも、まだ無色の物質です。このインドキシルを繊維や髪の毛に付着させたり、染み込ませて、酸素に触れると、酸化が起き、 藍色の物質「インディゴ」に変化します。インドキシルからインディゴに変わった時、初めて、青い色が発色するのです。
 このように本来、木藍は、藍色の染め色を出すハーブですが、ヘナの赤茶色と交じり合うことで、黒茶を表現することができます。
 木藍は、上記の写真にあるように2回、3回と重ねて染めることで自然な黒茶色になっていきます。(人毛に近いヤクの毛を使用。※染色には個人差があります。)また、酸素に触れることで発色するので、染めた後数日間に渡って色が濃く変化しつづけます。

【写真】(上から)
・インディゴケーキを作るため、水を足で蹴りあげて、空気を水中に、ま ぜこむ職人達。
・木藍(もくらん)の花と枝。
・畑周辺の風景。ソジャットなど北インドとは違い、南インドは水と温暖
 な気候に恵まれた緑豊かな場所です。
・乾燥させた木藍の葉を運ぶ女性。
・乾燥させた木藍を、風を利用して枝や小石、葉に分ける女性。
・木藍の粉砕工場内部。購入したての機械には、神に捧げる花が飾られて
 います。
・収穫したての木藍を運ぶトラクター。荷台にはインドらしく、カラフル
 な絵。
・木藍を収穫する女性達。

 

 

本サイトの著作権は、執筆者、撮影者に帰属します。また、文章、図版の無断での使用を禁止します。