ファティマの手●●

高い壁と壁に区切られて、いっそう高く明るく見える空しか見えない、シュルレアリズムの絵のような、メディナの細い道を歩いていると、時々、小さな扉に出会います。それは、昔ながらのハ―レム風のつくりの家や、プチホテルのドアなのですが、必ず、ブロンズや鉄でできた優しい手のひらの形のドアノッカーが中へと差し招くように、ついています。
このドアノッカーはムハンマドの最後の妻の名前を取って、「ファティマの手」と呼ばれています。
誰もいないような、ひっそりとしたメディナの迷路も、壁の奥には、柔らかな人の暮らす世界があることが伝わってきます。