ナイアード アルガンオイル~背景~

街のドアを飾る「ファティマの手」のノッカー

アルガンオイルとの出会い

私達がアルガンオイルの名前を知ったのはモロッコの古都、フェズに暮らす大家族の物語を書いたファティマ・メルニーシーの著書『ハーレムの少女・ファティマ』(未来社,1998年)から。その中で主人公の少女が、南の明るい土地で採れる、髪と肌を美しくしてくれるオイルとして憧れを込めて語るシーンがきっかけでした。
初めはモロッコの南にあることしかわからなかったアルガンオイルでしたが、モロッコに通ううちに、「ビタミンEをとても豊富に含み、モロッコでは“若返りのオイル”とも呼ばれていること」「スキンケアに用いられるだけでなく、食用としてもとても上質なオイルで、スローフードとしても高く評価されていること」「大西洋に面した街・エッサウィラ近郊にアルガンの木があること」「ヤギが実を求めて木登りすることでも有名なこと」等、様々な顔が見えてきました。

エッサウィラ大西洋沿岸の港

アルガンオイルのふるさと ~モロッコ南西部~

古くからイスラム、ベルベル、アフリカの文化が交易によって交差し独自の文化が創られてきた国、モロッコ。
かつてはモロッコ全土に生育していたというアルガンの木は、現在、モロッコ南西部の限られた地域でしか見られなくなってしまいました。
古代からフェニキアの交易の中継地として栄えた街、エッサウィラ等、大西洋に面した街は晴天が多く、温暖で過ごしやすい気候。その一方で、内陸のアトラス山脈周辺はサハラ砂漠の西端ということもあり、乾燥した土地が続きます。この、乾燥した土地でも地中深くに根を下し、力強く生きる木、それがアルガンです。

アルガンオイルを作るベルベル人の女性

アルガンの木と地域の関わり

この地域の先住民、ベルベルの人々はアルガンオイルを生活の中で利用してきました。主に食用として利用され、ローストした仁から搾ったオイルをトーストにつけて食べたり、クスクス等様々な料理に使います。食用の他に乾燥した肌に潤いを与えたり、美容液としてスキンケアにも使われ、地域の人々にとって欠かせない存在でした。
アルガンオイルづくりは女性達が家事の合間に行う仕事でしたが、現在では女性によるアルガンオイルの生産協同組合や、在宅で種子を割る仕事が数多くあり、どの生産協同組合も農家もアルガンの木の保護や、女性の自立支援、社会的地位の向上を目指しています。
アルガンオイルの評価が世界的に高まることにより、地域の経済もゆっくりと向上し、アルガンの木は現在では様々な社会的な意義を持つ存在になりました。

種を割り、仁を取り出す

見直される繊細な手仕事

ナイアードがアルガンクリームを作り、紹介を始めた2003年当時は「アルガンオイル」の名前は普及しておらず、オイルそのものをスキンケアやヘアケアに使用することが、私達の生活において一般的ではありませんでした。その後、徐々に「アルガンオイル」の認知は広がり、いまやモロッコを代表する美容素材として、世界中の人々から注目されるオイルとなっています。
需要が増すことで、それまで地域の女性が手仕事で担っていた種子を割り仁を取り出す仕事を、機械化しようとする試みもありましたが、結局は、実を割る際に仁を傷つけることなく、絶妙な力加減で取り出すことが出来る従来からの手割りの方法が見直される結果となりました。

女性の労力の機会が広がる

幅広く、地元の雇用を支える存在へ

アルガンオイルが世界中で注目されていくにつれ、アルガンの森の保護と、地域の女性の自立を目的とした生産協同組合の役割も増していきましたが、需要の増加により、アルガンオイルの生産量は生産協同組合だけではまかないきれない量になっていきました。
このような、国内外からの需要の増加は、それまでのように生産協同組合に集まり、地域の女性に還元されていった収益の他に、生産協同組合がある町から遠く離れた地域に住む女性や、家族にも自宅に居ながらアルガンオイルの仕事に関わり、現金収入を得る機会を広げていく結果となっています。
 
郊外の地域に住む農家の多くは、家族が代々守ってきた農地に自らが管理するアルガンの木を持っています。
従来は、開墾のため多くのアルガンの木が伐採され、農地が確保されてきましたが、今では自らの土地にあるアルガンの木を大切に守り、次の世代へ繋いでいくという良い循環も生まれてきています。

アルガンの森

アルガンの森を守るために

モロッコ南西部のアガディール、エッサウィラ周辺等の大西洋沿岸から内陸部にかけて、限られた地域に自生しているアルガンの木ですが、燃料の確保や、畑の開墾のために乱伐が進み、絶滅が危惧されるほどにまで減少していました。
点在するアルガンの木々が広がる土地を地域の人々は「森」と呼びます。見渡す限りの荒れ地にどこまでもアルガンだけが生える風景には、私達の想像する豊かで穏やかな森とは異なった、厳しく、荒々しい、力に溢れた雰囲気が漂います。
 
近年になって、アルガンの木が地中深く根を伸ばすことで、土壌の保水効果を高め乾燥を防ぎ、地力を守ることで食料になる穀物、野菜の生産、飼料の確保に繋がることが分かってきました。そしてアルガンオイルの成分の有効性、オイル生産による経済的効果等、アルガンが社会や環境にもたらす影響の大きさ、恵みの多様さ、重要性がモロッコのみならず世界的に知られるようになりました。
このように、広くアルガンのことが知られることにより、アルガンの恵みがこの地域に暮らす人々に実感として捉えられるようになり、アルガンの木を大切にしようという意識を生み始めました。
 
現在ではモロッコ政府による伐採の禁止や管理、オイルの生産グループによる植林によって保護が進み、少しずつアルガンの森はその力と生命を取り戻しつつあります。

アルガンクリームとアルガン石鹸

アルガンオイルの魅力をお届けします

アルガンオイルの素晴らしさは、背景にある自然と人との繋がりにあります。
アルガンがもたらす豊かな恵みを再発見できたことは、失われつつあったアルガンの森の保護と再生、そして、女性達の就労機会も生み出すきっかけとなりました。アルガンの恵みは、その土地で森を保全する人、オイルづくりに携わる人、そして、オイルを使う私達も幸せになれるような循環を作っています。
私達ナイアードは、このようなアルガンオイルと共に生活をする地域の人々と協力しあい、アルガンオイル、アルガンクリーム、アルガン石鹸等のシンプルなレシピの中にも、この素晴らしい素材の魅力を感じて頂ける製品をお届けしていきたいと考えています。

「Q&A」について読む
ページの上部へ