アルガン石鹸~製造~

石鹸の作り方 ~コールド製法のこと~

鹸化中の石鹸素地

石鹸は油脂とアルカリの反応「鹸化」によって作られますが、その製法は主に「釜炊き製法(ホットプロセス)」と「コールド製法(コールドプロセス)」に分けられます。
コールド製法は、オイルを加熱せず、苛性ソーダを加えたときの反応熱だけで鹸化を進める方法です。また、鹸化反応の副産物であるグリセリン等の不純物を取り除く「塩析」という操作を行いません。この製法には次のような特徴があります。

使い手、肌へのメリット

  • 塩析を行わないことで、石鹸の中に、グリセリンやビタミン類などのスキンケア成分がそのまま残されより高いスキンケアヘアケア効果が期待できます。
  • 加熱を行わないことで、原料のオイルの酸化を防ぎ、肌に負担をかけずオイル本来の効果が感じられます。またオイルそのもののデリケートな手触り、香りも楽しめます。

つくり手、環境へのメリット

  • 塩析を行わないことで、廃液がごく微量となり、環境負荷を軽減できます。
  • 原料を加熱する必要がないので、製造に費やすエネルギーを少なくできます。
  • シンプルでコンパクト、比較的安全な環境で石鹸作りができます。

コールド製法のデメリット

  • グリセリン分を多く含む石鹸はスキンケア効果が高い一方で、水分を引き寄せやすい性質があり、石鹸が溶けやすくなります。
  • 熱を加えずゆっくり鹸化を進める作り方であるため、製造に時間がかかります。

石鹸を作る

石鹸づくり

アルガン石鹸はナイアード・モロッコの工房にて周辺の村の人々によって手づくりされています。
強アルカリの苛性ソーダを扱う石鹸作りは、製造行程はもちろん、準備や後始末にも深い配慮が必要です。それはスタッフひとりひとりに、より安全な製造過程の工夫や注意力、品質、環境への影響、自然素材や人が手を使って作ったものを身体に使うことの心地よさなどをより深く感じさせ、スタッフたちのものづくりの意識を深める時間にもなっています。


コールド製法では、オイルに苛性ソーダを加えた後、数十分の間撹拌することで鹸化の反応を助けます。ボウルに入れた原料をホイッパーで撹拌する、その作業風景はまるで料理やお菓子作り。
石鹸素地のきめ細かさ、なめらかさをつくるには安定した温度で素地を撹拌することが必要です。撹拌の合間、こまめに素地の様子を確かめます。
鹸化が進み、石鹸素地がとろりとしてきたら、次は型入れ。粘度や温度の他、表面の質感等スタッフたちは型入れのタイミングをホイッパーから伝わる素地の触感で繊細に判断します。
型の中で石鹸素地が固まったら、丁寧にカットして刻印。乾燥室で更に鹸化と乾燥を進めます。

使う人のことを思いながら仕上げる

鹸化が終わった後も、使う人の手元により良い石鹸を届けるための作業は続きます。
石鹸を美しい直方体に整える整形、石鹸の手触りや匂い、重量などを1つずつ丁寧に自分の目と指先で確認する検品、フレッシュな状態で石鹸を届けるための真空パックの包装作業など。1つ1つの作業に細やかな手仕事と集中力が必要とされ、地道に見えるけれど、とても大切な工程です。
そこには石鹸としての使い心地はもちろん、使う人が目にしたり、手に取ったりするときにもその優しさや清潔感、フレッシュさを感じ、より気持ちよく使っていただけるように、という作り手の想いがあります。

環境に負荷をかけないために

石鹸作りでもっとも気を配るのは、オイルの鹸化に用いる苛性ソーダの後始末。苛性ソーダはそのままでは強いアルカリ性で肌に触れれば火傷のもとになる他、土に入れば植物も枯らしてしまいます。これらの悪影響を防ぐため、苛性ソーダに触れた道具類を洗った水が直接土に触れたり、外部に流れ出さないようにします。
そのために苛性ソーダを用いた器は、まず専用の水槽で洗います。器に残った苛性ソーダや石鹸素地を落とす水の水槽など3つの水槽があります。洗浄水は汚れの度合いを見ながら何度か再利用します。洗った後の水はクエン酸で中和、その後水で薄め、安全な状態にします。器や型に残った石鹸素地は1つの器に集め、工房の清掃や手洗いに利用します。

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