朝摘みばら水~素材~

ムゴナの薔薇

厳しくも豊かな自然が育むムゴナの薔薇

数多くあるモロッコの自然の恵みの中でも素晴らしいものの1つがムゴナの薔薇。厳しくも豊かな自然に磨かれ、エネルギーに満ちた「ダマスクローズ」の深みのある甘さと軽やかな花の香りとその働きは、古くから世界各地の人々の憧れでした。
ムゴナの薔薇が咲き始めるのは、アトラス山脈からの雪解け水がカスバ街道の村々を潤し始める4月の中旬から。収穫の期間は短く、ほぼ20日から40日間で年によって変わります。短い収穫期間を見るだけでも、その貴重さをお分かりいただけるでしょう。

薔薇を手摘みするムゴナの農家さん

朝摘みの薔薇を使う

薔薇の収穫は、早朝の涼しい時間だけに限られます。なぜなら太陽が高く昇り、気温が上がると、その香りはどんどん揮発し薄くなってしまうからです。花の季節には、私達の工房に薔薇を届けてくれる契約農家の人々も、香り高い花を収穫するため一家総出で朝方の畑に出て薔薇を摘みます。
花が完全に開ききる前の八分咲きのものが最も香り高いため、この時間の花を選んで摘むことにもこだわります。

ダマスクローズ

薔薇の原型 ~Rosa damascena~

ばら水や精油など、薔薇の香料の原料になるのは「ダマスクローズ」学名 Rosa damascena という原種に近い薔薇の1つです。私達のばら水も、この薔薇を原料にしています。
ダマスクローズは、現在一般的な園芸種の薔薇(モダン・ローズ)とは異なる、オールド・ローズと呼ばれる薔薇の仲間です。花はピンク色で八重咲きの直径7cmほどの小さな花で、先に尖った花弁のものが多い園芸種の花とは異なり、先の丸い花弁の素朴な形をしています。
香りもモダン・ローズの軽く、紅茶のような爽やかなグリーン系に対し、蜂蜜に似た重厚で、野趣ある甘い香りが特徴です。香りそのものがとても強く、よく香り、朝のムゴナの風は薔薇の香りがするほどです。密かに粘りがある香りは力強く、自然の豊かな生命力を感じさせてくれるようです。もしも日本で、ダマスクローズに似た香りを体験するとしたら、ハマナスの香りが似ています。

検品後の薔薇

自然の恵みそのものを

時間をかけて、薔薇本来の香りを壊さないようにゆっくりと注意深く蒸留し、花と水と火から私達のばら水はできます。含まれる成分は全て水蒸気蒸留によって、薔薇から抽出されるものです。薔薇の重さに対し、蒸留量を限定することで、香り高く、爽やかさに加えしっとりこくのある使用感を作っています。
その年の天候、土の状態によっても薔薇の香りは変わります。例えば、蜂蜜のような甘く濃厚な香りの年、甘さの中に柑橘が漂う爽やかな香りの年、シナモンやクローブがほのかに香る年も。私達は、自然がもたらす一期一会の香りにできるだけ忠実に、その年の香りをお届けできればと思っています。

薔薇の香りを構成する主な成分と性質

シトロネロール: 芳香成分。新鮮で鮮やかな薔薇の香り。抗炎症作用。
シトラール: 芳香成分。レモンの精油の主成分、爽やかな柑橘系の香り。
オイゲノール: 芳香成分。シナモンやクローブに含まれるスパイシーな香り。防腐効果。
ローズオキサイト: 芳香成分。薔薇やゼラニウムに含まれるグリーンの香り。
フェネチルアルコール: 芳香成分。薔薇やヒヤシンスに含まれる香り。防腐、殺菌効果。

※これらの成分はごく微量で、その働きはとても穏やかです。

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