朝摘みばら水~2018年製造レポート~

工房テラスから見た、雪が残るムゴン山

朝摘みばら水は、朝摘みのダマスクローズを水蒸気蒸留してできた芳香蒸留水そのもの。毎年薔薇の咲く4月下旬から5月中旬の間に1年分の蒸留を行いお届けしています。
 
例年では、4月に薔薇が咲き始め、5月に入る頃には蒸留のピークを迎えるものの、今年は5月5日頃にやっと本格的に蒸留を初められました。薔薇の季節が短いと予定量の蒸留ができるかどうかが心配でしたが、なんとか無事予定通りに蒸留できました。

寒々しい4月下旬の空

花の開花を遅らせた寒い春

乾燥しているイメージのあるモロッコも秋から冬が雨の季節。この時期に地層に雨が蓄えられて植物が芽吹く春を迎えます。 今年の雨季は、雨が少なく植物の生育に影響があるのではないかと心配されていましたが、2月に入ると待ち望んだ雨が降り、春が近づいてきているのが感じられる暖かい日が続きました。しかし、本格的に春を迎える3月から4月にかけては再び寒さが戻り、オレンジやアーモンドの花は開花が2週間も遅れました。
 
自然素材の宝庫、モロッコでは薔薇だけでなくネロリ(ビターオレンジの花)の蒸留も盛んです。例年であれば、ネロリの蒸留の後に薔薇の蒸留が行われスムーズですが、今年は開花の時期が重なり、蒸留を掛け持ちしている業者は手配に苦心したようです。

川幅が広がったムゴナの川

豊かな雨

花の開花が遅れてはいたものの、薔薇の町、ムゴナの雨も例年より多かったので、比較的寒さに強い麦は生育が良く、例年なら薔薇の季節には青々と広がる瑞々しい景色は、今年は早くも麦穂が色づき刈り入れが始まっている畑もありました。これはいつもの薔薇の時期には見られない風景です。
 
早朝から運び込まれる薔薇の選別作業が一段落する昼下がりには、薔薇の垣根の間を縫って畑を散策します。
畑を抜けると視界が広がり現れるムゴナの川の水量は、これまでに見た中で一番多く、歩いて散歩できるはずの河原は歩けないほどでした。

新しいスタッフも全員で取り組んだ今年の蒸留

薔薇の開花は遅れましたが、一旦薔薇が工房に運び込まれて来てからは順調に蒸留作業が進みました。朝摘みばら水の製造を担うナイアード・モロッコは、ガスール、アルガンオイルの製造も担っています。モロッコの製品を沢山の方に使っていただける機会が増えたことで、去年から今年にかけて新しいスタッフが増えました。
 
先輩スタッフから朝摘みばら水の仕事のことを聞いて、新しいスタッフのほとんどがムゴナでの仕事を楽しみにしていました。通常はマラケシュ工房でガスールやアルガンオイルづくりを行うスタッフ達ですが、朝摘みばら水の蒸留のため、薔薇の季節の間はムゴナ工房に寝泊まりします。実際に訪れたムゴナは思っていた以上に素敵な場所で、そんな場所で仕事ができることに喜びを感じていました。

日差しが戻った5月の空

2018年の朝摘みばら水

待ちわびて咲いた薔薇は、雨やくもり空の多かった4月から5月初めは小さな薔薇で、淡くすっきりした香りでしたが、日差しが戻ってきてからはいつもと同じ大きな花を咲かせ、濃厚な蜜の香りが強く感じられました。
 
そんな2018年の朝摘みばら水は、
「オレンジやアーモンド、初春の花を遅らせるほどの寒い春。
待ちわびて咲いた薔薇は、濃厚な甘さの中に、明るく雲のない青空を思い起こさせる爽快なライチの香。」
昨年のばら水に比べ、シンプルで濃厚さが際立つ印象となりました。
 
今年は薔薇の花の開花は遅かったけれど、沢山のばら水を作ることができました。いつも以上に長い期間使っていただけると思います。今年の朝摘みばら水も心をこめてお届けします。


(レポート:ナイアード・モロッコ ラシッド、レポート補足:赤座)

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