朝摘みばら水~2016年製造レポート~

2016年の薔薇

朝摘みばら水は、薔薇(ダマスカスローズ)を水蒸気蒸留した薔薇の芳香蒸留水に何も加えずそのまま瓶詰めしたものです。モロッコ・ムゴナの気候、その気候が影響を及ぼした自然の様子がそこに咲く薔薇の年毎の香りを作ります。朝摘みばら水を日々の暮らしの中に取り入れることが、自然が移ろいゆくことを改めて感じていただけるきっかけになると嬉しいです。

緑を育む時間 ~秋から冬にかけて~

ムゴナを流れる大切な水源

一昨年前の秋、モロッコの南では洪水に見舞われるほどの豊かな雨に恵まれましたが、今年はモロッコ全土で雨が少ない秋冬となりました。朝摘みばら水の製造が始まる4月下旬に見られるムゴナの緑は、秋から冬にかけて降る雨の影響を大いに受けて育まれますが、少雨の影響かムゴナの畑の小麦やオリーブ、アプリコットやアーモンド等の果物はいつもより成長が遅いと感じました。畑を抜けて、かんがい用水の水源でもある川のほとりに出ると、いつもに比べて川の水も少ないように感じました。
はしりの薔薇はいつもよりも淡い色をしていました。少し心配になりましたが、香りを確認するといつものようにしっかりとした香りでした。心配だった淡い色も、開花のピークを迎えるにつれ、いつもと同じように濃いピンク色になっていきました。しっかりとした花の香りはまるで蜂蜜のようでした。

雨が続いた薔薇の季節

瑞々しい麦の畑

薔薇の季節になるまで水不足を思わせる降水量でしたが、朝摘みばら水の製造中は雨の日が続きました。薔薇の咲いている畑を歩くと、成長が遅い小麦がいつもより若々しく鮮やかな緑色をしていました。
ナイアードが朝摘みばら水のためにムゴナに自社の工房を設立してはや6年目。毎年薔薇の季節に訪れるムゴナの仕事の機会をスタッフ皆が楽しみにしています。
ムゴナの工房では、届けられた薔薇から枯れたものや雑味となる葉等を全員で選別し取り除いたあと、選別し終えた薔薇を昔ながらのシステムの蒸留器にかけ、ゆっくりと蒸留されるのを交代で火の番をしながら待ちます。辛抱強い仕事に静かに時間が流れていきます。
2014年に工房の敷地に植えたアプリコットやびわの木も少しずつ大きくなり、今年小さな蕾をつけました。この果物の木々は、年を重ねる毎に花を咲かせ実を実らせ、私たちを楽しませてくれると思います。

立ち止まって考える時間「ラマダン」

今年の薔薇

今年も昨年に続き、朝摘みばら水の製造半ばにラマダンが始まりました。私はラマダンが楽しみです。ラマダンというと断食のイメージがあると思いますが、ラマダンは断食の意味合いだけではありません。自らの考えや行いの中にある悪いところ、良くない食生活があったらそれを改める期間でもあります。心と身体をきれいにすると、とても幸せな気持ちになります。ラマダンの時は、どの家庭も家族が集まって食事をする時間が増えるのでとても嬉しいです。街も夜遅くまでとても賑やかになります。私は、普段とは違うラマダンの時の街の雰囲気がとても好きです。
ラマダンの間は、ナイアード・モロッコの仕事時間が朝7時から午後1時になります。日の出とともに断食が始まり、日の入り後に食事をするため、お昼休みをとらずに集中して仕事をするのです。ラマダンの時は、ボトリング(瓶詰め)した製品を日本に出荷する前の検品の時期でしたが、心が穏やかになり集中して仕事に取り組むことができました。


そんなムゴナの自然の移ろいを映した2016年の朝摘みばら水は、
「少雨の秋と冬が育んだ淡い色の薔薇の年。
瑞々しいパッションフルーツを思わせる鮮やかで甘い柑橘と、初々しく、透明感ある可憐な花と蜂蜜の余韻。」
昨年のばら水に比べ、清楚さが際立つ香りとなりました。今年ならではの香り、そして、ボトルの中で変化し続け深みを増していく香りの移ろい、一期一会の香りをお楽しみください。
 
今年も薔薇の谷で村の人やスタッフが力をあわせて作ったばら水を日本の皆さんに使っていただけるのが楽しみです。


(レポート:ナイアード・モロッコ ラシッド、レポート補足:赤座)

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