1)アルガンの木

モロッコでは、アルガンオイルやそれを使って作られた製品は、何世紀もの間、伝統的な療法として、様々な皮膚病の治療に使われてききた植物です。
学名をArgania Spinosaといい、アカテツ科に属します。この仲間には、シアバターの採れるシアの木などもあります。厳しい気候の中で育ち、成長は遅いですが、大きな木は高さ7メートル程に育ちます。
本来は、モロッコ全土に生えていた木ですが、燃料としての利用や、畑の開墾のために乱伐、降雨量の現象により、現在はモロッコ南西部周辺の非常に乾燥した地域、およそ32000平方マイルのみが主な群生地域となっています。現地の人々は、これを「森」と呼びますが、見渡す限りの茶色く乾いた荒れ地をアルガンの木だけが被う風景には、私達が想像する瑞々しい森とは異なる、荒々しい力に溢れた雰囲気が漂います。

先端がとげのように尖った枝に、長さ1センチ、幅4ミリ程のだ円の葉がつきます。花も、刺状の枝に直接つきます。花は、花弁が無く2ミリ程の小さな目立たないものですが香りに良いものです。フルーツはだ円で、オリーブの実にも良く似ていますが、先端が微かに尖っています。しかし、オイルを取る部分は、果肉では無く、種子の中にある胚の部分。果肉の中の種は、ドングリより少し大きめの堅い殻に包まれています。花も実も、ほぼ通年つきます。
また、栄養価の高い葉や実を求めてヤギが木に登る事でも有名です。

2)アルガンの再発見と地域との結びつき

現在、モロッコ政府による伐採の禁止と森の保全、コーポラティブ・アマルのような女性によるオイルの生産グループによる植林によって、少しずつアルガンの森はその力と生命をとりもどしつつあります。しかし、まだ森の減少が止まるには至っていません。この計画は、乾燥地帯でありながらも人口の多い地方でなされるのですから、環境の面と同時に経済的側面を、不可分のこととして、考慮に入れながらすすめられなければ、森は守られないのです。
アルガンの木が地中深く伸ばす根が土地の保水効果を高め、地力を守り食料になる穀物、野菜の生産それに飼料の確保につながる事、オイルの成分の有効性、オイル生産現金収入など、環境的なメント同時に経済的な側面とを不可分の人にアルガンの木がもたらす恵みの多様さが、モロッコならず世界中に知られるようになりました。そして、何より、この地域に暮らす人々に実感としてとらえられるになりつつあります。
アルガンの森の拡大が、経済的収入を派生させるということは、長い目で見れば、このアルガンの森の確かで、確実な再生させる方法です。
アルガンの木の育成が、様々な派生的経済効果をもたらすことを、そこに住む人々が知れば、アルガンの森の再生に、お金も労働も投入し、自ら取り組むようになるでしょう。

3)アルガンオイルのはたらき、成分

アルガンオイルは、今までは、主に食用として利用されてきました。そこに住む人々は、ローストした胚から絞ったオイルを朝、トーストにつけて食べたり、料理に使ってきたのです。かつてこの地域で用いられたオイルの25%はアルガンオイルだったほど身近なオイルでした。
また、食用の他、治療用としては、皮膚の吹き出物、特に、青年期のニキビ、それに水疱の治療に使われてきました。また、乾いた肌に潤いを与えたり、しわの防止にも使われてきました。リュウマチにも効くといわれ、その患部部分の皮膚に塗って、治す方法をとってきました。

オイルは、木の実の胚をすり潰し絞って作った、カーネルオイルです。

成分はグリセリド(そのうち、95%は、トリグリセリド)が、オイルの99%を構成します。不飽和脂肪酸がそのグリセリドの主要な成分で、オレイン酸とリノール酸が、脂肪酸の80%を閉めます。リノレン酸は、ほんの少し含まれるだけです。

脂肪酸: オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸 他
不けん化物: カロチン3、トコフェロール、トリテルペンアルコール、ステロール、キサントフィル等。

特に注目するべき点は、トコフェロール類の含有量です。オリーブオイルのおよそ2倍、640mg/Kgが含まれています。トフェロールの主成分は、滋養に富むことで知られるベータトコフェロールで、69%。べータとガンマトコフェロールは、同じくらいで、それぞれ16%と13%。デルタトコフェロールは、ほんの少しの2%です。ベータ、ガンマ、デルタのトコフェロールは、抗酸化作用があり、アルガンオイルが長持ちすることに貢献しています。また、この他、コーヒー酸やオウレロペインなどのポリフェノール類が、含まれることも、同様の働きをしています。
写真:上から、アルガンの実と花、アルガンの木と森、アルガンの木に登るヤギ